過去の活動報告 No.72













第206回

噺の会じゅげむ定期公演 

 第61回 高槻市民寄席  

  
と  き  平成23年3月20日(日) 午後2時開演

ところ 高槻市立生涯学習センター 1階 展示ホール


共 催 高槻市立生涯学習センター/噺の会じゅげむ


3月11日に未曾有の東北・関東大震災が発生

し、開催も危ぶまれましたが、先年の阪神淡路

大震災の経験上、普段の生活、そして明るさを

絶やさないようにすることも大切だということで、

開催させていただくことになりました。


いつもどおりの会場設営を終えましたが、果たし

てこの時期にお客さんが足をお運びになるかと

いうことは、正直言ってかなり心配でした。


お配りするプログラムやチラシの準備をやって

います。いつもは、200枚くらいは用意している

のですが、この日は

   「100枚くらいあればいいかも・・・」

というような相談もしてました。


残念ながら、来月開催予定だった「駅前寄席」

の方は、西武百貨店さんの都合で当分の間は

イベントが中止となりました。本社が実際に被災

の渦中なので、この決定は致し方のないところ

かもしれませんね。


前説は、寿亭司之助さん。今回はいつもの寄席

の盛り上げ役ではなく、大震災を受けて、被災

者の方へのお見舞い、そして犠牲になられた方

へのご冥福をお祈りいたしました。また、高槻市

が実施している義援金への協力のお願い等、い

つもよりかなり緊張していたようです。


開場後もさすがにお客さんの出足はいつもより

遅いようでした。

世間はやはり寄席どころではない・・・?


とはいうものの、開演時には大勢のお客さんが

お越しいただき一安心です。

                             


トップは、文々亭小輔さん。演目は「江戸荒物」

です。これは、江戸が東京と呼び名が替わった

頃の噺で、ベタベタの大阪の人間が、東京に憧

れて、「江戸荒物」という荒物屋を始めようとしま

す。でも、品物が東京製ではなく、言葉だけを

江戸っ子にして商売するといういい加減もので。


「アマァ、シバチにシがねぇからシをモッチキナ!」

(かかぁ、火鉢に火が無いから火を持ってきて!)

にわか仕込みの怪しげな江戸っ子弁で商いを

始めますが、本物の江戸っ子が来たり、逆に

田舎から出てきて間もない女子衆さんが来たり

と大騒動になります。


高座の上。


二番手は、南茶亭おすしさん。ネタは、「ハンカ

チ」です。この噺は、上方落語協会が公募してい

た「第2回上方落語台本大賞」の優秀賞を受賞

した作品だそうで、作者はなんと、お笑いコンビ

「2丁拳銃」の小堀裕之さんです。


妻の誕生日も忘れてしまっている夫に「せめて

ハンカチ1枚でも…」と、プレゼントを催促したり

して、それが元で夫婦げんかになります。ところ

が、ひょんなことで、商店街のイベント『妻に愛を

叫ぶコンテスト』に出演することになって・・・。

夫婦愛を描いた現代風の人情噺です。


お茶子さんは、天乃小てるさんです。


三番手は、六弦亭ざくろさん。演目は、「禁酒関

所」です。江戸落語では「禁酒番屋」ですね。酒

が好きな人にとっては、『酒は百薬の長』などと

いいますが、その酒も飲み過ぎてしまうと、我を

忘れてしまい人に迷惑を掛けたりして大変なこと

になったりします。


お酒が元で刃傷沙汰が起こってしまったことで、

城下に禁酒令がしかれます。そんな中、どうして

も酒がやめられない武士が、酒屋に酒を届ける

ように命じます。酒屋の面々は、何とか禁酒関

所を突破しようと知恵を絞ります。


当会のハッピ。


中トリは、三流亭志まねさん。演題は、江戸落

語の「宮戸川」です。「宮戸川」というは、江戸の

隅田川の一部の旧称らしいのですが、不思議な

ことに噺の中に「宮戸川」は登場しません。今、

演じられている「宮戸川」は本来の落語の前半

だけで、後半にその川が出てくるそうです。


父親に夜に締め出された半七は仕方なく叔父

の所へ泊まりに行きますが、途中、これまた締

め出された隣家の娘・お花と出会います。それ

を察しがよすぎる叔父に勘違いされて、一夜を

ともに過ごすことになります。色んなサゲがあり

ますが、志まねさんのサゲはまた斬新でした。


志まねさん愛用の雪駄。粋なデザインですね。


お中入りでございます。


少し空席もありましたが、おかげさまで、入場者

133名の大入りとなりました。当会定例会では、

95回連続、高槻市民寄席では、42回連続の

大入り記録の更新となりました。


中入り後は、阿遊亭弘遊さん。ネタは、「鉄砲勇

助」です。この落語も前出の「宮戸川」と同様で

噺の中に「鉄砲勇助」なる人物は登場しません。

実はこれも長編落語の前半が独立したもので、

後半にその人物が登場しますが、今ではほとん

ど演じられることはありません。


江戸落語では、「うそつき村」または「うそつき

弥次郎」とも呼ばれる演目で、とにかく、ウソの

オンパレードなんです。木曽の山奥で山賊と出

会ったり、猪に追いかけられたり、北海道でいろ

んなものが凍る話と息つく暇もないくらいです。

最後はちょっとエッチな方向に・・・


毎回、故・仁六家拾八さんの提灯が高座を見守

ります。


トリは、潮吹亭くじらさん。演目は、「花筏」です。

昨今の大相撲は、例の八百長問題で相撲協会

始まって以来の大騒動になっています。そして、

ついに本場所(大阪場所)が中止になってしま

い、大相撲ファンはがっかりです。くじらさんは

そんなファンの一人でもあります。


そんな大相撲への愛を込めて大相撲ネタを演じ

ることにしたそうです。とはいうものの、このネタ

も実は八百長がテーマなんですが・・・。人気の

大関・花筏が病気になり、播州での興行へ行け

なくなります。そこで、容姿がそっくりな提灯屋の

徳さんが身代わりとなって巡業に参加します。


「病気のため土俵入りのみ」という約束なので、

気楽に地元の接待を楽しんでいたのですが、

調子に乗りすぎて、千秋楽に地元の素人相撲

の強豪・千鳥ヶ浜と相撲を取るはめになってし

まいます。結びの一番でこわごわ土俵に上がっ

た徳さんですが、思いもよらない結末が・・・。




第207回

噺の会じゅげむ定期公演 

 第62回 高槻市民寄席  

  
と  き  平成23年5月15日(日) 午後2時開演

ところ 高槻市立生涯学習センター 1階 展示ホール


共 催 高槻市立生涯学習センター/噺の会じゅげむ


会場の高槻市立生涯学習センター。

天候は曇。

そして、今回は8回目(大阪では4回目)になる

京都・大阪交流落語会です。


施設の中のパソコンでイベント等の検索ができ

ます。


この日開催の高槻市民寄席の出演者と番組も

掲載していただいています。


寄席は午後2時開演なのですが、スタッフは、

朝の10時30分から会場設営にあたります。


寄席の準備と後片づけが、結構、たいへんな

のですが、これが素人落語の宿命というか、楽

しみでもあります。


お客さんにお配りするプログラムを準備する

志熨家かりん(しのすや・かりん)さん。入場者

数をカウントするため、1枚ずつ通し番号を入

れます。


お昼前には立派な寄席会場のできあがりです。

とはいうものの、前月の定例会(駅前寄席)は

大震災の影響で中止になり、次回告知ができて

いないので、どれだけのお客さんにお越しいた

だけるのかという不安が大きかったですね。

                             


やはりというか、開場時間になってもお客さんの

出足が少々遅い? とやきもきしているうちに

常連さんの笑顔が続々とお見えになりました。


前説は、潮吹亭くじら(しおふくてい・くじら)さん。

東日本大震災の被災地(福島県)に友人を訪ね

て来られ、目の当たりにした被害の模様をつぶ

さにレポートしていただき、震災の恐さ、そして、

復興へ向けた支援の大切さを伝えました。

※ レポートの詳細は、くじらさんのブログをご覧ください。


小さいお子さんもお父さんと一緒にご来場。

ところが、このお子さんがツボにはまったのか、

大いに笑ってくれました (^O^)


差し入れなどでいただいたお酒です。真ん中は、

くじらさんが持ち帰られた福島県は会津の銘酒

「七重郎」です。右は、講談の太閤堂新玄さん

からいただいた幻の焼酎「赤霧島」です。これら

はすべて、打ち上げで消え失せました・・・。


お客さんの入りを心配していましたが、開演時

には、100名を越えるお客さんにご来場いただ

きました。


トップは、悠々亭一光(ゆうゆうてい・いっこう)さ

ん。ネタは、「癪の合薬(しゃくのあいぐすり)」で

す。終演後、お客さんに「癪って何?」と質問が

ありました。辞書によりますと、多く女性にみら

れる
胸部・腹部におこる胃けいれん、腸神経痛

のことで、仙気、さし込みとも言われます。


また、「合薬」とはその人に合った薬のことで、

人それぞれによく効く適薬があり、それを合薬と

呼びます。とある商家の御寮人さんの癪の合薬

は、何と「やかん」をなめること。外出中に癪が

始まった御寮人、近くに「やかん」はありません

でしたが、「やかん」に似たものを見つけて・・・。


上方落語独特の高座の道具、見台とひざ隠しと

小拍子木です。


二番手は、京都楽笑会の喫茶亭寿限無(きっさ

てい・じゅげむ)さん。交流落語会では常連です。

今回の演目は「桃太郎」でした。この噺も上方落

語の定番ですね。これまたおとぎ話の定番中の

定番とも言える「桃太郎」の解釈をめぐり、親と

子が論争? を始めます。


単なる勧善懲悪のおとぎ話かと思いきや、「桃

太郎」のエピソードには深い深い意味が隠され

ていたのです。ちなみに、余談ですが、この日

の同時間に別の部屋でも素人落語の会があり、

演目も同じ「桃太郎」でした。でも、「桃太郎」対

決は、きっと、寿限無さんの勝ちに間違いなし!


お茶子さんは、天乃小てる(あまの・こてる)さん

です。


【特別企画】 お茶子さんの仕事

小てるさんの働きぶりを動画にしてみました。

限られた時間にテキパキと高座の準備をしなけ

ればなりません。特に、高槻市民寄席の「見台」

と「ひざ隠し」は重量級なので大変です。(楽屋

のくじらさんもお手伝い・・・)


三番手は、三流亭志まね(さんりゅうてい・しま

ね)さん。ネタは、「バールのようなもの」です。

清水義範氏の小説を元にした立川志の輔師匠

の新作落語です。ニュースの事件報道でよく

使われる「犯人は、バールのようなもので…」と

いうフレーズに疑問を持つことから始まります。


いわゆる根問ものの落語になっており、色々な

疑問をご隠居さんが珍解釈で解き明かします。

「夜中にカップ焼きそばのお湯を捨てる時に流し

がベコーンという音がするのはなぜ」と聞かれて

「夜中に眠ってしまわないようにするため」てな

具合です。でも、説得力があったりして・・・。


入口ののれん(裏側からですが…)です。


中トリは、こちらも交流落語会常連の京都・楽笑

会の錦松楼さだ吉(きんしょうろう・さだきち)さん

です。常連というより、この交流落語会の仕掛け

役ということになります。演題は、「猫の災難」。

江戸落語も同じ演題です。故・志ん生師匠は、

これを「犬の災難」に変えて演ってたそうです。


もらってきた鯛の頭と尾だけをさも一匹の鯛が

あるように見せかけて、友達に酒を買ってこさ

せます。ところが、鯛は猫が食べてしまったと

嘘を言い、今度は別の肴を買いにいかせてい

るうちに酒を全部飲んでしまい、また、猫の責任

にしてしまいます。さて、悪者にされた猫は・・・。


中入り休憩です。


おかげさまで、予想を大きく上回る209名の方

にご来場いただきました。これで、定例会では

96回連続の大入り記録で、高槻市民寄席では

43回連続の大入り記録となりました。

また、この「高槻市民寄席」の通算入場者数も

1万人を突破しました。


こちらは、楽屋の差し入れです。今回、くじらさん

が福島県に行った際に、知人であるのブログ仲

間の「ゆさこをゐち」さんからいただいたもので、

福島県の銘菓「いもくり佐太郎」です。口にほお

ばると、ふっくらしっとりとして実に美味いお菓子

でした。


中入後は、文々亭小輔(ぶんぶんてい・こすけ)

さん。ネタは、「夏の医者」です。季節も夏ともな

り気温が暑くなってくると、とかく食べ物が傷み

やすくなってくるので、中毒には十分な注意が

必要です。とくに、最近は、O−157とか111と

か恐い中毒も増えています。


そんな夏のある日、隣村のお百姓が倒れたの

で、主人公のお医者さんが往診に出かけます。

隣村といっても、田舎のことなので、山越えの

8里半先です。ぼちぼちと出かけますが、山道

で「うわばみ(大蛇)」に飲み込まれてしまいま

す。でも、このお医者さんはあわてずに・・・。


高座と楽屋を隔てる境のボードです。


六番手は、京都・楽笑会のホープ・必勝亭馬犬

(ひっしょうてい・ばけん)さん。交流落語会では

初の御目見得となります。演目は、桂文珍師匠

と小佐田定雄先生の共作落語「老楽風呂(おい

らくぶろ)」です。


会社ではパソコンに苦しめられている窓際族の

おじさんが疲れてふと立ち寄ったスーパー銭湯

の「老楽風呂」。先に湯船に入っていたお爺さん

にいろんな蘊蓄(うんちく)を教わるという落語

です。その話を感心して聞いていたおじさんは、

いい年寄りになれますでしょうか?


写真撮影を担当するスタッフの真琴家笑吉(ま

ことや・しょうきち)さん。そして、高座を見守る

出演者やスタッフです。


満を持してのトリは、阿遊亭弘遊(あぁゆうてい

・こうゆう)さん。演題は、十八番の大相撲ネタ

「相撲場風景」です。


この落語は、タイトルのとおり、大相撲で賑わう

相撲場の風景の描写です。現在の大相撲は、

問題続出でちょっと人気にかげりが生じていま

すが、昔の大相撲は芝居と並んで娯楽の王様

だったそうで、相撲場は大勢の人が観戦に集ま

ります。


前の人の頭が邪魔で相撲が見えず文句を言っ

ている人がいるかと思うと、腹が減って前の人

の握り飯を失敬して食べてしまう人があったり、

大賑わいです。ついに、席を取られるのが嫌さ

に小便をギリギリまで我慢している人まで出て、

大騒ぎになってしまいます。


懸念された震災後の寄席も無事大入満員で

お開きとなり、会場近くの「阿國」さんで打ち上

げです。総勢13人で大いに盛り上がりました。


差し入れでいただいた福島県の銘酒もおいしく

いただきました。これからも東北のお酒ををたく

さん呑みたいと思います。


「阿國」の女将さんにもお裾分け。

というところで、来月からは、高槻西武百貨店の

「駅前寄席」も復活します。よろしく願います。

第136回「高槻オーロラシティ・駅前寄席」

6月19日(日)午後2時開演。入場無料。

ご来場いただいた方には特典があるかも!?












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